出展者ストーリーズ #19 Skip

出展者ストーリーズ #019

株式会社 マツ勘:伝統を守り、進化を重ねる──100年企業の次世代への挑戦

2026.2

株式会社 マツ勘(出展ゾーン:KITCHEN LIFE)

MATSUKAN1

福井県小浜市に拠点を置く、1922年創業の老舗箸メーカー。全国の塗り箸市場で7〜8割を占める若狭塗の産地で、400年の伝統を受け継ぎつつ、現代のライフスタイルに合った商品開発を行う。「箸蔵まつかん」ブランドでは、伝統技法と現代デザインの融合を図り、サステナビリティにも配慮した事業も実施。創業100周年にあわせ、本社近くに複合施設「GOSHOEN」を開設し、直営店やコーヒースタンドなどを通じて若狭塗の歴史と文化の発信も行う。

Q. 御社の事業や特色について

私たちの産地は福井県小浜市にあり、全国の塗り箸市場の約7〜8割を担っています。そのルーツである若狭塗は、小浜藩主の保護のもと発展した漆器で、海辺の風景や波のきらめきを意匠に取り入れ、独自の美しさを生み出してきました。当初は重箱や茶器などの工芸品が中心でしたが、時代の変化とともに、堅牢さと意匠性を兼ね備えた箸が数多く作られるようになりました。弊社は履物屋を経て、1922年に箸の製造業として創業しました。時代のニーズに応えながら歩みを続け、現在に至っています。
私たちのブランド名は「箸蔵まつかん」です。「箸蔵」は、多様な箸が“蔵”に詰まっているイメージから生まれ、さまざまなライフスタイルや趣味趣向に応じた提案を行うことを理念としています。市場の幅広いニーズに応える一方で、歴史的なルーツや伝統技術の継承にも注力してきました。また、伝統と現代デザインの両面から職人とのタイアップや新しい企画を展開し、商品開発やブランディングに奥行きを持たせることを意識しています。変化するライフスタイルへの適合だけではなく、伝統技術や産地の価値を次世代に引き継ぐことが私たちのブランドの柱であると考えています。

 

Q. 地域の拠点運営について

小浜市の本社から徒歩1分の場所に、「護松園」という文化財があります。かつて藩主を迎えた迎賓館として使われており、若狭塗の歴史や産業のルーツと深い親和性がある場所です。2022年に、弊社が創業100周年を迎えるにあたり、この場所を「GOSHOEN」として、店舗兼複合施設に再生しました。この場所を通じて、地域との関わりを形にしつつ、訪れる方にブランドの世界観をリアルに体験していただくことができます。得意先のバイヤーや関係者にも、商品だけでなく産地の歴史やブランドの理念を理解していただく入り口として機能しています。

Q. 出展のご感想は?

MATSUKAN2

かつては新商品の発表を主な目的として見本市に参加していました。しかし、大規模見本市では費用対効果に課題を感じるようになり、より小規模で、自社の世界観を丁寧に伝えられる場へと重点を移していました。それでも、徐々に商談や収益化に限界を感じるようになっていき、改めて自社の表現と親和性の高い見本市を検討した結果、インテリア ライフスタイルへの再出展に至りました。
来場者数は10年前と比べるとやや少ない印象でしたが、それがかえって、一人ひとりの来場者とじっくり向き合う機会につながりました。結果として、今後長くお付き合いできそうなお客様と出会え、商談の質も高まりました。ブランドの世界観や理念を丁寧にお伝えできたことは、大きな成果だと感じています。

Q. ブースデザインのコンセプトは?

MATSUKAN3

夏祭りの縁日をテーマに、提灯やあんどんを思わせる暖色の明かりを中心に据え、商品を際立たせるだけでなく、ブランドの世界観を伝えることを意識しました。また、ブースは再利用可能な構造とし、施工会社の既存資材を活用して廃棄物の削減を図りました。壁に使用した越前和紙には、箸の製造過程で出るおが屑を漉き込むなど、サステナビリティへの配慮も盛り込まれています。
コロナ禍で産業が抱える課題と向き合う中、廃棄物の削減や職人の後継者不足といった問題をどう解決していくかを考えました。そうした課題への対応こそが、新しい価値の創出につながると考えたのです。これらの取り組みが徐々に評価され、販売にも結び付くようになってきました。今回の出展も、こうした背景やブランドの理念・世界観を直接お伝えできる貴重な機会だったと感じています。