出展者ストーリーズ #14 Skip

出展者ストーリーズ #14

“1個から”の対応力で広げる、共創と挑戦のものづくり

2025.11

 

藤田金属株式会社(MOVEMENT出展者)

1951年創業、大阪府八尾市に本社を構える金属製品メーカー。長年にわたりキッチン用品を中心とした製造を手がけ、近年は“1個から”のオリジナル製品製作を強みに、2016年にはカスタマイズ可能な「フライパン物語」、その後デザインユニットTENTとの協業で誕生したフライパン 「ジュウ」が話題を集める。社内一貫体制と柔軟な対応力を活かし、キッチン用品にとどまらない生活関連製品の開発にも取り組む。

http://www.fujita-kinzoku.jp/

 

―御社の事業について教えていただけますか。

藤田金属株式会社は1951年創業で、今年で74年目を迎えます。2011年に父が事業を引き継いだ頃は、リーマンショックの影響もあり、経営としては厳しい状況にありました。当時は量販店向けに安価なアルミ製のタンブラーや急須などを製造していましたが、模倣品の流通が早く、中国製の低価格商品が主流になるなど、市場に対応しながら自社の方向性を見直すことが課題となっていました。

そんな中で2016年にスタートしたのが、カスタマイズ可能なフライパン「フライパン物語」です。その際、初めてインテリア ライフスタイルに出展し、想定を上回る反響をいただいたのですが、製造が追いつかないという嬉しい悲鳴もありました。その経験から、法人向けに“1個からオリジナル製品を作れる”というスタイルへと舵を切りました。見本市でもこの柔軟な対応力が評価され、多くのご依頼をいただくようになりました。

―そこからフライパン「ジュウ」など、ヒット商品も生まれていったのですね。

 はい。“デザイン”にしっかりと向き合うことが必要だということに気づき、デザインユニットの「TENT(テント)」さんと協業することで、フライパン「ジュウ」が誕生しました。SNSでの広がりも後押しとなり、多くのお客様に知っていただくことができました。

①ジュウ写真

―近年は、キッチン用品以外の製品も手がけていらっしゃるそうですね。

コロナ禍をきっかけに、生活全体を見つめ直す人が増えたこともあり、フライパン以外の製品にも挑戦しています。テーブルランプや植木鉢など、暮らしに寄り添うプロダクトの企画・製造が増え、様々な企業との協業のお話も広がっていきました。

―社内の製造体制にも特徴があるとお聞きしました。

分業制ではなく、できる限り社内で一貫して製造できる体制を整えています。現在は20名程度のスタッフで運営していますが、それぞれが複数の工程を担当できるようにしていて、急な変更や多様な要望にも柔軟に対応できる仕組みを整えています。これは、お客様の声にしっかり応えたいという思いから生まれた体制です。

―インテリア ライフスタイルに出展した感想もお聞かせください。今回の出展への反応はいかがでしたか?

インテリア ライフスタイルには過去2回出展していますが、今回は、これまで以上に多くの来場者と出会うことができました。以前の出展がきっかけで弊社を知ってくださったリピーターの方も増えており、認知度の蓄積があると感じています。また、こうした見本市では新たな出会いをつくることを大切にしていて、今回も「いつか取引したい」と思っていた企業と話が進みました。顔を合わせて話せる機会はやはり貴重だと実感しています。

②ブースイメージ
③製品寄り画像-2

―他の見本市とは異なる、インテリアライフスタイル展ならではの魅力を感じる点はありますか?

この見本市は、百貨店や専門店など、比較的ハイエンドな市場とつながりのある方々が多く訪れる印象があります。出展者同士のクオリティも高く、そうした中で出会えるお客様とは、価値観の共有がしやすいと感じていますね。

―今回の出展を通じて、何か新しい挑戦の手応えはありましたか?

主催のメッセフランクフルト・ジャパンさんがドイツの見本市「アンビエンテ」と連携していることもあり、海外のバイヤーとの接点が生まれるのもこの見本市ならではの魅力です。実際に近隣諸国のバイヤーからお声がけいただくこともあり、輸出や海外展開を視野に入れるうえで、重要な足がかりになると感じています。

写真提供:藤田金属株式会社